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学会認定プライマリ・ケア看護師の会

【開催報告】5月の座談会

みなさん、こんにちは。
日本プライマリ・ケア連合学会認定プライマリ・ケア看護師支援部門では、2か月に一度「雑談会」を開催し、様々な現場で活動している仲間と交流をしています。

2025年度の第1回座談会を5月24日に開催しました。
テーマは、5月12日の「看護の日」にちなみ、「忘れられない看護」についてです。
10名が参加し、心温まる、そして示唆に富むエピソードを共有しました。
以下、共有したエピソードについて、いくつか紹介します。

「忘れられない看護」のエピソード

①患者指導の際の一言から、看護師としての姿勢を問い直す

患者さんから、「あなたたちにとっては、当たり前のことかもしれないけれど、俺にとってはすごく重大なこと、そんな簡単に言わないでほしい」と言わたことがあります。
この言葉は、私にとって大きな衝撃であり、どのような指導が患者さんにとって負担にならず、前向きな気持ちで取り組めるものになるのか、患者指導の重要性を改めて認識させられるものでした。

看護師として、患者さんの立場に立ち、その人の価値観や感情を理解することが大切です。
自分の価値観で良いと思った指導は、患者さんにとっては重荷になることもあるという、看護師としての姿勢を改めて問い直す貴重な気づきとなりました。

②最期まで「その人らしく生きるを支える」

看護師として「患者さんを最期までケアすることは当然のことだ」と思いながら接していた私に、ある患者さんから「死にゆく人に対してこんなに尽くしてくれる人たちがいることに感動しました」と言われたことがあります。
その言葉に、胸がいっぱいになりました。
終末期のケアは「その人らしく生きることを支える」ことなのだと、改めて気づかされた忘れられない瞬間でした。
患者さんの人生に寄り添うことの尊さが、改めて心に響いた出来事でした。

③母が教えてくれた看護師として大切にすること

私が看護学生だった頃、母が手術のために入院しました。
手術後の痛みと不安から何度も夜勤の看護師さんを呼んでしまい、申し訳ない気持ちでいたところ、看護師さんは優しく声をかけ、腰をさすってくれたそうです。
その手から伝わる温かさに、母は痛みが最も和らいだと話していました。

当時、私はその話を聞いて深く感銘を受けました。
看護師となり30年が経った今も、母のこの話を思い出しながら、患者さんの「手」を取り、「目」を見て寄り添うことの大切さを心に刻んでいます。

④患者の希望を大切にすること、専門職として支えること

ある入院患者さんは、知的障害のある娘さんのことを心配して、何度も退院を希望されていました。
しかし、退院支援看護師として経験不足だった私は、十分な支援ができず、退院に繋げることができませんでした。
そのような患者さんから「あなたは一生懸命考えてくれた。悔いはないよ」と声をかけていただきました。
その言葉に救われる気持ちがありながらも、多職種連携の難しさや自身の経験不足を痛感し、より深く関わることができなかったことに強い後悔を覚えています。
この経験を通じて、より質の高い支援ができるようになりたいという思いが強まり、新たに研修を受講したいと考えています。

⑤エピソード集を通じて知ることができた「みんなの看護観」

中規模総合病院の外来に勤務している中、看護部から「若い世代に看護観が育っていない」という問題提起がありました。
この状況を受け、病院全体で取り組むことが決まり、外来の新人からベテランまで、それぞれの看護に関するエピソードを書いてもらい、一冊の本にまとめました。
「先生に怒られた」など、辛い経験を綴ったエピソードも多くありましたが、「今となってはいい思い出」として患者さんとの関わりを振り返る方もいました。
この本を作成したことで、看護師一人ひとりの視点を共有し、多様な看護観に触れる貴重な機会を得ることができました。

深い学びと共感が生まれた「忘れられない看護」エピソード

他にも「忘れられない看護」のエピソードがたくさんありました。
どれも、看護の奥深さ、日々の業務における喜びや葛藤、そして成長の機会を感じさせる内容でした。

今回の雑談会を通して、チームで支え合うことの重要性、看護の原点を振り返ること、そして支える人へのケアとして看護師自身の心身のケアが大切であると感じました。
また、どのエピソードも共感できる内容が多く、看護の本質に触れる機会となりました。
そして、患者さん一人ひとりとの出会いや、仲間との支え合い、そして自己成長につながる経験が、日々の看護をどれほど豊かにしているかを改めて感じることができました。

「雑談会」は、参加者同士が互いの経験から学び合い、共感し、日々の看護へのモチベーションを高める場となっています。皆様の参加をお待ちしています。

看護師部会 認定者の会支援部門 山﨑礼子
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最終更新:2025年06月10日 12時52分

看護師部会 広報活動支援部門

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