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プライマリ・ケア Field LIVE!
日本プライマリ・ケア連合学会 中国ブロック支部長インタビュー
日本プライマリ・ケア連合学会の北海道から九州まで、8つの地域で活動するブロック支部。
今回、『プライマリ・ケアFieldLive!』の特別編として、各ブロック支部の取り組みや活動についてご紹介する本企画。今回は岡山・鳥取・島根・広島・山口で組織される<中国ブロック支部>の支部長、齊藤裕之先生にお話を伺いました。
今回、『プライマリ・ケアFieldLive!』の特別編として、各ブロック支部の取り組みや活動についてご紹介する本企画。今回は岡山・鳥取・島根・広島・山口で組織される<中国ブロック支部>の支部長、齊藤裕之先生にお話を伺いました。
組織の枠を超えた「緩やかな繋がり」が、次世代の若手と多職種を育む土壌となります。
あえて「頑張りすぎない」ことで生まれる結束力。
― まず、現在の中国ブロック支部の組織体制と支部長として取り組まれたことについてお教えください。
中国ブロックは鳥取・島根・岡山・広島・山口の5県で構成されています。以前は各県での活動が中心で、ブロック全体としての連続性や情報の風通しに課題がありました。そこで現在は、各県に窓口となる支部長を立て、支部長・副支部長会議で決定した事項を各県へ迅速に共有できる体制を構築しています。
私が支部長に就任したのは2026年からですが、それ以前から役員として着手していたこととして、組織の徹底的な「断捨離」を行いました。かつては委員会が乱立しており、実態が伴わないものや少数の役員に負担が集中しているものが散見されました。そこで、すべての委員会に対して約1年半をかけて丁寧にヒアリングを行い、機能していないものは廃止し、必要なものは統合して「誰もが走りやすいレール」を整えました。例えば、研究支援を目的とした「PBRN(Practice Based Research Network)」は、ブロック単位で維持するには負担が重すぎると判断し、一旦取り下げました。その代わりに、より気軽な「指導医ぴあさぽ同好会」へと形を変え、指導医同士が悩みを共有できる場へと再編しています。
私が支部長に就任したのは2026年からですが、それ以前から役員として着手していたこととして、組織の徹底的な「断捨離」を行いました。かつては委員会が乱立しており、実態が伴わないものや少数の役員に負担が集中しているものが散見されました。そこで、すべての委員会に対して約1年半をかけて丁寧にヒアリングを行い、機能していないものは廃止し、必要なものは統合して「誰もが走りやすいレール」を整えました。例えば、研究支援を目的とした「PBRN(Practice Based Research Network)」は、ブロック単位で維持するには負担が重すぎると判断し、一旦取り下げました。その代わりに、より気軽な「指導医ぴあさぽ同好会」へと形を変え、指導医同士が悩みを共有できる場へと再編しています。
― 組織をスリム化する上で、大切にされていることはありますか?
私は役員の先生方に「中国ブロックの仕事は、あまり一生懸命やりすぎなくていいですよ」と常に伝えています。これは非常に重要なポイントです。というのも、中国ブロックには全国理事を務めるような多忙な先生方が多く、各県や各プログラムの現場でも膨大な業務を抱えています。そこにブロック支部の仕事が重い義務として加わっては、組織としての持続可能性が失われてしまいます。
中国ブロックの最大の価値は、形式的な仕事そのものよりも「集まりたい、繋がりたい」という純粋なモチベーションにあります。無理に高い目標を掲げてメンバーを追い込むのではなく、居心地の良い「ほっとする場」であることを最優先しています。この緩やかな繋がりがあるからこそ、困った時に互いに助け合える強固な「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」が育まれます。実際、私たちの主要メンバーは25年以上の長い付き合いがあり、互いの顔がよく見える関係性にあります。この長年の信頼関係こそが、私たちの活動の揺るぎない基盤となっています。
中国ブロックの最大の価値は、形式的な仕事そのものよりも「集まりたい、繋がりたい」という純粋なモチベーションにあります。無理に高い目標を掲げてメンバーを追い込むのではなく、居心地の良い「ほっとする場」であることを最優先しています。この緩やかな繋がりがあるからこそ、困った時に互いに助け合える強固な「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」が育まれます。実際、私たちの主要メンバーは25年以上の長い付き合いがあり、互いの顔がよく見える関係性にあります。この長年の信頼関係こそが、私たちの活動の揺るぎない基盤となっています。
― 「緩やかさ」が必要だという視点はユニークに思われます。
私は各プログラムや病院の現場で日々奮闘している医師にとって、ブロック支部は「息抜き」ができる場所であるべきだと思っています。仕事が先行するのではなく、集まりたいという気持ちが先行し、そのついでに仕事があるというバランスが理想的です。利害関係のない繋がりの中で、雑談したり現場の愚痴を共有したりすることが、結果として長く活動を続ける活力になります。
ガチガチに固められた組織よりも、ある種サークル活動のような柔軟さがある方が、多様な人材が自発的に集まり、結果として組織が活性化していくのではないでしょうか。役員の先生方も「中国ブロックの仕事ならやりたい」と言ってくださる方が多く、その自律的な思いに支えられています。私たちは、全国規模の活動には敷居の高さを感じる層にとっても、心地よい中規模のコミュニティであり続けたいと考えています。
ガチガチに固められた組織よりも、ある種サークル活動のような柔軟さがある方が、多様な人材が自発的に集まり、結果として組織が活性化していくのではないでしょうか。役員の先生方も「中国ブロックの仕事ならやりたい」と言ってくださる方が多く、その自律的な思いに支えられています。私たちは、全国規模の活動には敷居の高さを感じる層にとっても、心地よい中規模のコミュニティであり続けたいと考えています。
中国ブロックのレガシーと若手を支える「SEEDs」の挑戦。
― 若手育成や学生への支援について、具体的な取り組みを教えてください。
中国ブロックには、代々受け継がれてきた「ポートフォリオ発表会が大好き」という素晴らしいレガシーがあります。ポートフォリオとは、家庭医療や総合診療の核心である患者中心の医療や多職種連携などを、実際の症例を通して深く振り返る学習ツールです。私たちは毎年4月、新専攻医のオリエンテーションに合わせてこの発表会を開催しています。
かつては指導医と専攻医が中心でしたが、現在は学生も積極的に巻き込んでいます。学生が参加しやすいよう、各県からの交通費や宿泊費をブロック支部が補助する仕組みを整えました。この経済的・心理的なバックアップにより、以前は存続が危ぶまれていた学生企画「PCs(ピーシーズ)」が劇的に活性化しました。
かつては指導医と専攻医が中心でしたが、現在は学生も積極的に巻き込んでいます。学生が参加しやすいよう、各県からの交通費や宿泊費をブロック支部が補助する仕組みを整えました。この経済的・心理的なバックアップにより、以前は存続が危ぶまれていた学生企画「PCs(ピーシーズ)」が劇的に活性化しました。
― 学生や専攻医が自律的に活動を続けるための工夫はありますか?
若い人たちだけで活動を継続させるのは難しく、放っておくとどうしても活動が尻すぼみになってしまいます。そこで今回の再編で、若手指導医・専攻医・学生をひとまとめにした 「SEEDs(Support & Education for Early-stage Doctors)」という委員会を新設しました。これは文字通り、次世代の「種」をまき、育てるための組織です。しかも、専門研修を修了した若手指導医たちが、自主的に学生・専攻医を支援したいと立候補してくれました。
若手指導医が学生や専攻医をサポートし、テーマ設定のガイドや必要な人脈の紹介を行う仕組みを作ったことにより、「実習前の不安共有(ざっくばらんトーク)」や「カルテの書き方講座」、「医療面接企画」といった、若手が本当に求めている具体的な勉強会が定期的に開催されるようになりました。指導医が一方的に教えるのではなく、若手の「やりたい」という芽を摘まずに支援する体制が整ったことで、世代を超えた「学びの好循環」が生まれています。
若手指導医が学生や専攻医をサポートし、テーマ設定のガイドや必要な人脈の紹介を行う仕組みを作ったことにより、「実習前の不安共有(ざっくばらんトーク)」や「カルテの書き方講座」、「医療面接企画」といった、若手が本当に求めている具体的な勉強会が定期的に開催されるようになりました。指導医が一方的に教えるのではなく、若手の「やりたい」という芽を摘まずに支援する体制が整ったことで、世代を超えた「学びの好循環」が生まれています。
また一連の新専攻医オリエンテーションやポートフォリオ発表会が行われるブロック支部学術集会(地方会)に併せて学生が主体となった企画の開催も支援しています。2026年度は「ぶっちゃけキャリア座談会 ~総合診療医・家庭医のリアルをきこう~」と題した先輩総合診療医に学生がざっくばらんにキャリアの相談を出来る企画をしてもらうことが、結果的に中国各県の学生の現地参加と交流を促すことに繋がっています。
― 学生がポートフォリオ発表会に参加することには、どのような意義があるのでしょうか?
ポートフォリオ発表会は総合診療の「専門性」を肌で感じてもらう絶好の機会です。単なる知識の習得ではなく、患者さんとの対話や地域での多職種連携をどのように掘り下げるのか、先輩たちのリアルな発表を見ることで、将来のキャリア像を具体的にイメージしやすくなります。また、発表後の懇親会では、学生が多くのベテラン医師と対面で交流し、縦と横のネットワークを一気に広げることができます。
私たちはポートフォリオ発表会を、順位を競うコンペティションではなく、参加した誰もが「行ってよかった」と思える温かい承認の場にしたいと考えています。こうした人との繋がりが、研修医や学生たちが中国ブロックというコミュニティに自分の居場所を感じる大きな要因になっています。
私たちはポートフォリオ発表会を、順位を競うコンペティションではなく、参加した誰もが「行ってよかった」と思える温かい承認の場にしたいと考えています。こうした人との繋がりが、研修医や学生たちが中国ブロックというコミュニティに自分の居場所を感じる大きな要因になっています。
多職種の自発性を引き出すエンパワーメント。
― 医師以外の多職種との連携については、現在どのような動きがありますか?
今年度、特に嬉しい変化があったのは看護師さんたちの活動です。以前は学会認定プライマリ・ケア看護師さんを中心としたグループがあったものの、連絡が途絶えがちになっていた時期もありました。しかし、2026年5月に開催された中国ブロック支部学術集会に、多くの看護師さんが参加してくれたことを機に、彼女たちの熱意が再燃しました。
私は支部長として「ブロックとして予算面も含め全力でサポートするから、やりたいことを自由にやってください」と伝え、権限を大幅に委譲しました。すると、彼女たちから驚くほど活発にビジョンが提示され、2027年の山口大会では、看護師さんたちが主役となる2時間半もの大きなプログラム枠を用意することになりました。
私は支部長として「ブロックとして予算面も含め全力でサポートするから、やりたいことを自由にやってください」と伝え、権限を大幅に委譲しました。すると、彼女たちから驚くほど活発にビジョンが提示され、2027年の山口大会では、看護師さんたちが主役となる2時間半もの大きなプログラム枠を用意することになりました。
― 多職種の皆さんのやる気を引き出すポイントはどこにあるのでしょうか?
「花を持たせる場」を提供しつつ、決してガチガチに管理しないことですね。学術集会で司会を務めたり、自分たちのセミナーを企画・運営したりといった「輝ける舞台」があれば、モチベーションは自然と高まります。一方で、通年の活動については「細く長く、細々とでいい」と伝え、日常業務に支障が出ない程度の自由度を高く保つようにしています。
また、「多職種」という名称を残すことにもこだわっています。看護師さんたち自身の希望もあり、あえて特定の職種名に絞らないことで、薬剤師や事務職の方々も集まりやすい、開かれた環境を維持しています。彼女たちの「自分たちで頑張りたい」という思いを最大限に尊重し、背中を押すのが支部長としての私の役割です。
また、「多職種」という名称を残すことにもこだわっています。看護師さんたち自身の希望もあり、あえて特定の職種名に絞らないことで、薬剤師や事務職の方々も集まりやすい、開かれた環境を維持しています。彼女たちの「自分たちで頑張りたい」という思いを最大限に尊重し、背中を押すのが支部長としての私の役割です。
― 今後の展望、特に一般の方や次世代への啓発についてお聞かせください。
プライマリ・ケアや総合診療の価値を一般の方に伝えることは、私のライフワークでもあります。最近ではメディアの番組などを通じて発信していますが、ブロック支部としても「未来の仲間」を増やすための種まきをしたいと考えています。
具体的には、今後の学術集会に高校生や、会員のご家族、お子さんたちを招待する計画を立てています。ハードルを上げすぎず、「託児所の隣で中高生が勉強している」ような、日常の延長線上にある学会の姿が理想です。まだ企画段階で、ボツになるかもしれませんが、小さな頃からプライマリ・ケアに触れる機会を作ることで、将来この道に進む子どもたちが一人でも増えれば、これほど嬉しいことはありません。
具体的には、今後の学術集会に高校生や、会員のご家族、お子さんたちを招待する計画を立てています。ハードルを上げすぎず、「託児所の隣で中高生が勉強している」ような、日常の延長線上にある学会の姿が理想です。まだ企画段階で、ボツになるかもしれませんが、小さな頃からプライマリ・ケアに触れる機会を作ることで、将来この道に進む子どもたちが一人でも増えれば、これほど嬉しいことはありません。
― 最後に、中国ブロックに関わる皆さんへメッセージをお願いします。
中国ブロックは、決して敷居の高い組織ではありません。むしろ、現場の忙しさから離れて「家庭医療が好きだ」という原点に立ち返り、仲間と癒やし合える温かいコミュニティでありたいと思っています。
利害関係のない繋がりは、巡り巡って患者さんへの質の高いケアに繋がります。何か新しい事業を強いることはしませんが、皆さんが「やりたい」と思うことがあれば、全力で応援し、必要な予算や権限もバックアップします。この風通しの良い繋がりの中に、ぜひ気軽に飛び込んできてください。
利害関係のない繋がりは、巡り巡って患者さんへの質の高いケアに繋がります。何か新しい事業を強いることはしませんが、皆さんが「やりたい」と思うことがあれば、全力で応援し、必要な予算や権限もバックアップします。この風通しの良い繋がりの中に、ぜひ気軽に飛び込んできてください。
― 中国ブロック支部 ホームページもご覧ください
最終更新:2026年06月22日 12時31分
















