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特別編!副理事長 井上真智子先生のWONCA2022(世界家庭医機構)アジア太平洋地域大会 現地参加レポート

皆様、こんにちは。国際・学術に関する担当副理事長の井上真智子です。
2022年12月5-7日、インドネシア・バリ島で開かれたWONCAアジア太平洋地域大会に参加してきましたので報告します。

WONCA(世界家庭医機構)は、1972年に発足した家庭医療の国際学術組織で今年50周年を迎えます。
アジア地域太平洋(APR)会議が現地で開催されるのは、2019年の京都以来3年ぶりです。

観光のオフシーズンではあるものの、空港からホテルへの道は激しい渋滞でした。
たどりついた学会会場は、サーフィンをする人で賑わうクタ・ビーチが目前に広がるホテルで、素晴らしいロケーションでした。
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開会セレモニーでは、伝統楽器の演奏のもと華やかなバリ舞踊の披露があり、続いて開会の儀式が行われました。冒頭のインドネシア保健省大臣からのメッセージでは、今まさに行われているインドネシアのプライマリ・ケア制度改革と家庭医療専門医への期待が語られました。

続いて、主催のインドネシア家庭医療学会会長Dr. Isti Ilmiati Fujiati(写真1)、WONCA APRの会長Dr. Muhammad Husni Jamal(マレーシア)、WONCA Worldの会長であるDr. Anna Stavdal(ノルウェー)(https://www.globalfamilydoctor.com/News/FromthePresidentDecember2022.aspx)の講演へと続きました(写真2)。
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    写真1)インドネシア家庭医療学会会長Dr. Isti Ilmiati Fujiati
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    写真2)WONCA Worldの会長であるDr. Anna Stavdal

“A Family Doctor for Every Family(すべての家庭に家庭医を)”

WONCA会長Dr. Stavdalの講演は、持続可能な開発目標(SDGs)と家庭医療をテーマに、プライマリ・ヘルス・ケアの理念 “Health for all" を目指して家庭医がどう取り組むかのお話です。北欧の福祉モデル(ノルディックモデル)を紹介しつつ、患者ケアに加え、地域・住民集団の健康、予防医療、健康の社会的決定要因や健康格差、多職種連携などに家庭医が取り組む重要性を話されました。“A Family Doctor for Every Family(すべての家庭に家庭医を)"というスローガンで締めくくられた講演を受けて、日本でも同様の課題があること、プライマリ・ヘルス・ケアシステムの整備・充実に取り組む必要性を実感しました。

“Family Medicine Specialists”の専門医認定制度の始まり

特筆すべきは、今回のAPR大会はインドネシアにとっては大きな節目となるタイミングであったことです。

今年から新たに“Family Medicine Specialists"の専門医認定制度が始まり、その一期生の就任式が盛大に開催されました。これまでgeneral practitioner(GP)であった経験者を含む約500名が、制服の「明るいブルーのジャケット」を着用し、専門医の称号を手にして喜びに包まれ誇らしげにこの記念すべきスタートを祝っておられました。
保健省主導の医療制度改革の中でこの資格が重要なものとして位置づけられていることがわかりました。
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    ブルーのジャケットを着用する「Family Medicine Specialists」
そして、Five Star Doctor Award(https://www.globalfamilydoctor.com/member/awards/woncafive-stardoctors.aspx)は、WONCAが国際的に最も優れた家庭医と認める人物を表彰する賞ですが、今回はAPR支部からの推薦により台湾のDr. Meng-Chih Leeが受賞されました(写真3)。
いつも笑顔いっぱいの大変フレンドリーな先生で、皆でお祝いしました。
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その他、COVID-19時代における家庭医療、プラネタリー・ヘルス, 妊産婦のケア、高齢者ケア、家庭医療教育などさまざまなテーマに関するシンポジウム、ワークショップ、口演・ポスター発表がありました。

また懇親会ではアジア太平洋各国間の交流が行われました(写真4)。

インドネシアに加えて、韓国、台湾、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ミャンマー、オーストラリア、英国などの方々と話す機会があり大変刺激となりました。
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会期前日に開催されたWONCA APRの理事会では、次期APR会長の選挙や今後の学術大会について報告がありました。

2023年はオーストラリア・シドニーでワールド大会、2024年はシンガポールでAPR大会、2025年はポルトガル・リスボンのワールド大会と、韓国・釜山でのAPR大会が予定されています。

シドニー大会は2月9日まで演題募集中です(https://wonca.racgp.org.au/wonca-2023)。海外の家庭医療事情や、プライマリ・ヘルス・ケア制度について触れる貴重な機会です。日本からもぜひ多く参加されるとよいと思いました。

また、日本プライマリ・ケア連合学会では国際委員会のメンバーを中心にWONCA活動に参加しています。
オンラインで参加できるウェビナー(https://www.youtube.com/@woncaworld)、若手メンバーの交流としてRajakumar movement (https://www.facebook.com/groups/189749157725401)があります。

こちらも参加すると大変楽しいと思います。気軽に覗いてみてください。

最終更新:2022年12月29日 11時28分

「プライマリ・ケア公式WEB」 編集担当

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「プライマリ・ケア公式WEB」 編集担当

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