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プライマリ・ケアで求められる看護力とは/意思決定支援におけるヒューマンスキルを考える

PC看護師を志したきっかけと認定の際に苦労したこと

私が勤務する楓庵は、法人内に医師がいません。ちょっとした疑問も医師に聞くことができないため、主にTwitterで情報収集をしていました。そこでよくしてくれた医師が、家庭医療専門医であることを知り、そこから日本プライマリ・ケア連合学会に辿りつきました。自己研鑽を目的に入会し、セミナーを受講するなかで、看護師の認定制度があることを知り、キャリアアップのためにチャレンジしました。
一番苦労したのは時間のやりくりです。一つの事例をまとめるのには1ヵ月以上要しますし、チャレンジをスタートした年は、ちょうど長男の中学受験に重なり、一緒に机に向かう日々でした。まだ下に2人妹弟がいて、思うように集中できない環境で、ときに喧嘩したり、励ましたりと、お互いに刺激し合って頑張りました。長男の学習を見ていると、最初は要領が悪く、時間がかかって解けない、正答に辿りつけない問題も、何度も繰り返すうちに、最短ルートで正確に答えを出せるようになっていきます。それを見て「量質転化ってこういうことなのか」と思い、自分も本をたくさん読み、苦手分野のセミナーを何度も受講するようになりました。

PC看護師として日頃意識していること

私が現場でとくに大切にしていることは、意思決定支援における本人や家族との関係づくり、言葉の選び方、伝えるタイミング、情報量の調整、意思や考えを正確に引き出し、それを理解することです。在宅では、家族と過ごす時間が長く、家族の気持ちが利用者に与える影響も大きくなります。不安や迷いも伝播しやすいので、家族の意見がどうしてもまとまらないときは間に入ることも必要になってきます。とくにターミナル期は時間があまりないので「次の訪問までに困らないだろうか」、「何か問題が起きないだろうか」と振り返り、できる限りの予測を立てて、家族に伝えておく必要があります。「何かあったらお電話してもいいですか」、「どんなときに電話したらいいでしょうか」と不安な様子があったときは、連絡がなくてもこちらからお電話することもあります。かといって、最初からたくさんの情報を与えられても困ってしまう方もいらっしゃるでしょう。とくに、日常的に医療的ケアが必要な方は、技術指導も同時進行することが多いため、介護者が混乱しないように情報量を抑えることも重要です。
また、ときには施設への訪問看護やリハビリも行っています。施設スタッフは週に数回しか行かない私たちよりも、ずっと長くていねいに利用者の状態を見てくれていることがほとんどです。ですから、施設スタッフからの情報はたいへん貴重で、アセスメントを行ううえで欠かすことができない存在です。
訪問看護をはじめたころは、与えられた業務を行うだけで精一杯でしたが、そんな私も今年で8年目となり、家族の視点をはじめ、リハビリスタッフや医師、ケアマネ、ヘルパー、薬剤師などたくさんの職種とのかかわりのなかで、みんなはどんなところを見ているのか、看護師は何を期待されているのかといったことを意識して仕事をするようになりました。元々は質を気にしすぎて量をこなせないタイプなのですが、意思決定支援に関してはある程度の事例を経験しないと、最初からきめ細やかな対応はできないと感じています。

印象に残るご利用者様

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最終更新:2023年12月27日 15時33分

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