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“潜在的”な「二人主治医制」を念頭に

 近年、在宅医療を希望する患者の増加や、医療ソーシャルワーカーなどによる後押しにより、「急性期病院などの臓器・領域専門医など在宅医療を行わない医師(非在宅医)」に加えて、「在宅医療を担う医師(在宅医)」も診療する「二人主治医制」がなされることが増えている様に思う。さらに、「二人主治医制」については、既に訪問診療が開始され、主治医が「在宅医」のみである場合にも、念頭におくべきであろう。

第一に、ある患者に「二人主治医制」が有益であると判断され、「在宅医」が促すが、患者(とその家族など)が了解されないため、「二人主治医制」はならず、いわば、“潜在的"な「二人主治医制」となっている場合である。漫然と「家で、できる範囲で十分です」などと言う患者は少なくないので、「二人主治医制」の恩恵について、患者へ切々と説く必要があろう。ただし、医療機関を受診することについての患者の様々な考え方を尊重し、医学的側面以外も加味することが前提である。

第二に、本来、「二人主治医制」が必要であるにも関わらず、「在宅医」に気づきがないため、“潜在的"な「二人主治医制」である場合もあるのではないであろうか。しばしばあるのは、急なアクシデントを契機に患者が「非在宅医」を受診し、もともと「在宅医」が診療していた疾患に対する治療法が変更され状態が改善し、「二人主治医制」が開始となり、「在宅医」が「二人主治医制」の意義を認識する場合である。筆者には、もっと早く、「二人主治医制」にしておくべきであったと反省した苦い経験が少なくない。

「二人主治医制」のより適切な導入には、「非在宅医」への啓発も必要であろうし、「患者側」にその効果を理解してもらうことも重要である。加えて、それ以上に、主治医が「在宅医」のみである場合、受診が負担となることが多い訪問診療中の患者が、「非在宅医」に診てもらう意義を査定し、“潜在的"な「二人主治医制」である可能性を念頭におき、適宜、“顕在的"な「二人主治医制」とする必要がある様に思う。

最終更新:2024年07月07日 21時27分

在宅医療委員会

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在宅医療委員会

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