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ナースのお仕事
【地域で活躍する看護師紹介⑫】地域包括ケアセンターいぶき 水上幸子さん 編
プライマリ・ケア領域で活躍する看護師を知っていますか?
シリーズでお伝えする【地域で活躍する看護師紹介】。
今回は、滋賀県米原市にある「地域包括ケアセンターいぶき」で勤務している水上幸子さんの活動を紹介します。
シリーズでお伝えする【地域で活躍する看護師紹介】。
今回は、滋賀県米原市にある「地域包括ケアセンターいぶき」で勤務している水上幸子さんの活動を紹介します。
プライマリ・ケアとの出会い
私が勤務しているのは、滋賀県米原市にある公設民営化の複合施設、地域包括ケアセンターいぶき(通称:ケアセンターいぶき)です。
地域包括ケアセンターいぶきは、在宅療養支援診療所、介護老人保健施設、居宅介護支援事業所、通所リハビリテーションのある複合施設です。
ここからは、私の現在の実践までの経緯を含めて、プライマリ・ケアとの出会いを紹介します。
地域包括ケアセンターいぶきは、在宅療養支援診療所、介護老人保健施設、居宅介護支援事業所、通所リハビリテーションのある複合施設です。
ここからは、私の現在の実践までの経緯を含めて、プライマリ・ケアとの出会いを紹介します。
国民健康保険診療所での看護
大学病院に約3年勤務後、1991年に実家のある米原市の国民健康保険診療所(国保診療所)に就職し、外来、検診、訪問診療の同行や訪問看護などプライマリ・ケアに携わる仕事をしてきました。
診療所で働き始めて、それまでの病院勤務では患者さんの疾患・病気だけをみており、その人となりやご家族・背景にまでケアできていなかったことに反省させられました。
診療所では、病気を診るだけではなくて“その人を診る・看る"といったところが面白く、地域での医療・看護に魅力を感じるようになりました。
まだプライマリ・ケアという言葉も、緩和ケアやACP(アドバンスケアプランニング)という言葉も聞くことが少なかった時代です。
所長である畑野医師の「病院は病気を治すところ、地域の診療所はどうやって死ぬか考えていくところ」といった言葉に感銘を受け、どんどん魅力に引き込まれていきました。
患者さんとの距離が近く、私のほうがケアされていると思うことがよくありました。
仕事と子育ての両立が厳しくて弱音を吐く私の話を、患者さんや患者さんのご家族がじっと聴いてくださってアドバイスをくれることもありました。
診療所の近くの患者さんが畑で採れた野菜を持ってきてくれたり、家に帰って料理するのも大変だろうと下処理までして持たせてくれたり、夕食のおかずの1品を作って持たせてくれたこともありました。
仕事が終わらず先に保育所に迎えに行って子どもを外来待合室に待たせていると、患者さんが仕事終わりまで子どもを見てくれることもありました。
診療所では、そのころから在宅看取りを積極的にするようになりました。
訪問診療や訪問看護では、その人の人生の最終段階に寄り添えることができ、その人の家族のように最期までお付き合いをすることができます。
訪問診療の同行で関わったご家族からは、「看護師さんが先生と一緒に来てくれるようになって、安心できるようになった。一人で介護していたらつぶれそうで怒ってしまうこともあったけど、最期は良い関係で看取ることができた」と言ってもらったこともありました。
また、診療所に喘息やアレルギーで受診していた小学生の子どもが、成人して結婚し、母親や父親になってから、また診療所に予防接種や受診に来てくれることがあります。
このように、その人の成長を親戚の子のように見守り、関わることができます。
患者さんに地域ぐるみで関わることによって、患者さんやその家族、地域のヒストリーを知ることができ、感激、感動することが多々ありました。
また、診察に来られた患者さんが私の家族の話をしてくださり、自分自身の家族のヒストリーも知ることができたりと、この地域で支えられて生きてきたことを感じさせられました。
地域の人に関わることで、人生観や死生観などを考えさせられることも多いです。
地域の人に支えられ、育ててもらったと言っても過言ではありません。
診療所で働き始めて、それまでの病院勤務では患者さんの疾患・病気だけをみており、その人となりやご家族・背景にまでケアできていなかったことに反省させられました。
診療所では、病気を診るだけではなくて“その人を診る・看る"といったところが面白く、地域での医療・看護に魅力を感じるようになりました。
まだプライマリ・ケアという言葉も、緩和ケアやACP(アドバンスケアプランニング)という言葉も聞くことが少なかった時代です。
所長である畑野医師の「病院は病気を治すところ、地域の診療所はどうやって死ぬか考えていくところ」といった言葉に感銘を受け、どんどん魅力に引き込まれていきました。
患者さんとの距離が近く、私のほうがケアされていると思うことがよくありました。
仕事と子育ての両立が厳しくて弱音を吐く私の話を、患者さんや患者さんのご家族がじっと聴いてくださってアドバイスをくれることもありました。
診療所の近くの患者さんが畑で採れた野菜を持ってきてくれたり、家に帰って料理するのも大変だろうと下処理までして持たせてくれたり、夕食のおかずの1品を作って持たせてくれたこともありました。
仕事が終わらず先に保育所に迎えに行って子どもを外来待合室に待たせていると、患者さんが仕事終わりまで子どもを見てくれることもありました。
診療所では、そのころから在宅看取りを積極的にするようになりました。
訪問診療や訪問看護では、その人の人生の最終段階に寄り添えることができ、その人の家族のように最期までお付き合いをすることができます。
訪問診療の同行で関わったご家族からは、「看護師さんが先生と一緒に来てくれるようになって、安心できるようになった。一人で介護していたらつぶれそうで怒ってしまうこともあったけど、最期は良い関係で看取ることができた」と言ってもらったこともありました。
また、診療所に喘息やアレルギーで受診していた小学生の子どもが、成人して結婚し、母親や父親になってから、また診療所に予防接種や受診に来てくれることがあります。
このように、その人の成長を親戚の子のように見守り、関わることができます。
患者さんに地域ぐるみで関わることによって、患者さんやその家族、地域のヒストリーを知ることができ、感激、感動することが多々ありました。
また、診察に来られた患者さんが私の家族の話をしてくださり、自分自身の家族のヒストリーも知ることができたりと、この地域で支えられて生きてきたことを感じさせられました。
地域の人に関わることで、人生観や死生観などを考えさせられることも多いです。
地域の人に支えられ、育ててもらったと言っても過言ではありません。
地域包括ケアセンターいぶき・在宅支援診療所での訪問看護・訪問診療同行
2006年4月国保診療所の閉鎖とケアセンターいぶきの立ち上げに伴い、所長の畑野医師とともにケアセンターいぶきで勤務することになりました。
ケアセンターいぶきに就職してから約16年間は、在宅支援診療所で外来、訪問看護や訪問診療の同行に従事しました。
また、地域サロンへの参加や講習会の開催などをおこなっていました。
近年は、少しずつプライマリ・ケアを担う看護師に注目が集まってきていますが、私が国保診療所に就職した頃、世間は病院志向であり、診療所の看護師は病院勤務看護師より技術的に劣っているという風潮がありました。
私も勤務するまでは、診療所看護師は雑用ばかりではないか、高度な医療や看護から取り残されるのではないか、と心配していました。
しかし、勤務してみると看護師の業務の多さに驚きました。
診療所の看護師の仕事は複雑で多岐に渡ります。
その人の病状によって迅速な医療の必要性を判断するトリアージ、診察介助、検査業務、予防接種、健診業務、診察を受ける前の相談業務(マイナーイルネス対応)、慢性疾患管理です。
また、レセプト業務などの事務仕事、往診・訪問診療の患者さんの振り分けなどの医師のマネジメント業務、訪問診療同行した情報を他職種と連携してケアに繋げること、訪問看護など複雑で多様です。
また、患者さんの生活を理解して寄り添うためには、看護師という前に、一人の生活者という目線や視点が必要です。
ここにプライマリ・ケア看護の醍醐味があると感じています。
なにより、外来患者さん、訪問診療や訪問看護を利用されている患者さんとの距離が近く、魅力のある仕事です。
ケアセンターいぶきに就職してから約16年間は、在宅支援診療所で外来、訪問看護や訪問診療の同行に従事しました。
また、地域サロンへの参加や講習会の開催などをおこなっていました。
近年は、少しずつプライマリ・ケアを担う看護師に注目が集まってきていますが、私が国保診療所に就職した頃、世間は病院志向であり、診療所の看護師は病院勤務看護師より技術的に劣っているという風潮がありました。
私も勤務するまでは、診療所看護師は雑用ばかりではないか、高度な医療や看護から取り残されるのではないか、と心配していました。
しかし、勤務してみると看護師の業務の多さに驚きました。
診療所の看護師の仕事は複雑で多岐に渡ります。
その人の病状によって迅速な医療の必要性を判断するトリアージ、診察介助、検査業務、予防接種、健診業務、診察を受ける前の相談業務(マイナーイルネス対応)、慢性疾患管理です。
また、レセプト業務などの事務仕事、往診・訪問診療の患者さんの振り分けなどの医師のマネジメント業務、訪問診療同行した情報を他職種と連携してケアに繋げること、訪問看護など複雑で多様です。
また、患者さんの生活を理解して寄り添うためには、看護師という前に、一人の生活者という目線や視点が必要です。
ここにプライマリ・ケア看護の醍醐味があると感じています。
なにより、外来患者さん、訪問診療や訪問看護を利用されている患者さんとの距離が近く、魅力のある仕事です。
介護老人保健施設での看護
現在、私はケアセンターいぶきの介護老人保健施設(老健)に所属しています。
老健とは、在宅復帰するためのリハビリ施設です。
40代の中年層の方から高齢の方まで、慢性疾患、神経難病、精神疾患、認知症、老衰の方など、様々な利用者が入所しています。
施設の理念が地域支援であり、短期入所者が毎日多く利用しています。
先日、豪雨で近隣の地域が土石流の被害を受けました。
近隣の高齢者が自宅に帰れなくなり緊急ショートステイで何名か受け入れました。
このような災害時においても地域を支援している施設です。
老健とは、在宅復帰するためのリハビリ施設です。
40代の中年層の方から高齢の方まで、慢性疾患、神経難病、精神疾患、認知症、老衰の方など、様々な利用者が入所しています。
施設の理念が地域支援であり、短期入所者が毎日多く利用しています。
先日、豪雨で近隣の地域が土石流の被害を受けました。
近隣の高齢者が自宅に帰れなくなり緊急ショートステイで何名か受け入れました。
このような災害時においても地域を支援している施設です。
老健では、訪問診療や訪問看護でかかわった患者さんの生活を1日を通して知ることができ、外来患者さんが慢性疾患の管理をどのように自己管理をされているかという実際を知ることができます。
老健などの施設も地域包括ケアのサイクルの一部分を担っていると考えます。
訪問看護、外来では患者さんの生活の一部分しか見ることができませんが、施設の看護師は自宅での様子を伺いながら、朝から晩までその人をじっくり多職種でケアすることができます。
このように、多職種で意見を交換し協働していけることが施設看護の魅力です。
また、利用者さんやその家族、多職種で相談しながら看取りまでしています。
人生の最終章を施設で希望される方が少しでも穏やかであるように寄り添うことができます。
老健などの施設も地域包括ケアのサイクルの一部分を担っていると考えます。
訪問看護、外来では患者さんの生活の一部分しか見ることができませんが、施設の看護師は自宅での様子を伺いながら、朝から晩までその人をじっくり多職種でケアすることができます。
このように、多職種で意見を交換し協働していけることが施設看護の魅力です。
また、利用者さんやその家族、多職種で相談しながら看取りまでしています。
人生の最終章を施設で希望される方が少しでも穏やかであるように寄り添うことができます。
ライフワークバランスとキャリアアップ
仕事と子育ての両立はなかなか厳しく続けられないと思った時もありましたが、家族や職場の理解と協力でなんとか続けることができました。
訪問看護で関わらせていただき在宅看取りをされたある患者さんのご家族から「看護師さんがいなかったら、父を家で看取ることはできなかった。父が望むように家で看取らせてあげることができた。ありがとう。」という言葉をいただくことができ、今でも励みになっています。
プライマリ・ケアという言葉に出会って、自分が実践してきた看護はプライマリ・ケアという専門性を持った分野だと自信が持てるようになりました。
プライマリ・ケアでは、「患者さん中心の医療・看護」を展開できるところが魅力です。
プライマリ・ケアナースの業務も、時代と共にだんだん高度かつ複雑になっています。
そして、プライマリ・ケアナースは、色々な面でスーパーナースといえると思います。
その看護実践を知ってほしいと考え、少しずつ看護研究を始めました。
看護研究をしていくうちに、プライマリ・ケアナースに必要な慢性疾患の知識を得たい、理論的にアセスメントできる力をつけたいと考えるようになりました。
地域の診療所には慢性疾患患者さんがたくさんいます。
それも、複数の疾患を抱えて、病とともに生活されている人がほとんどです。
慢性疾患や看取りにかかわるうちに、どのように接していけばよいのか、本当に自分の看護はこれでよいのかを悩むようになりました。
プライマリ・ケアに携わるナースの職場環境は、看護師の人数が少なく、なかなか相談や知識向上を図る機会がないのではないかと考えます。
そのような中、一念発起して大学の通信課程で心理学を学びました。
その後、働きながら大学院に入学し、慢性疾患看護専門看護師の資格を取得することができました。
慢性疾患看護専門看護師としてのサブスペシャリティはプライマリ・ケアとしています。
そして、大学院在学中に、学会認定プライマリ・ケア看護師の資格を得ることができました。
日本プライマリ・ケア連合学会に入会して、様々な研修や座談会などに参加する中で、私と同じようなプライマリ・ケアに携わるナースと出会うことができました。
プライマリ・ケアナースとの交流を通して、同じような悩みや想いを持っているということを再確認し、自分のホームを持つことができたと思えるようになりました。
看護は日々研鑽し学習していくものです。
プライマリ・ケアに関わる他のナースの向上心や探求心、バイタリティに感心させられ、ますますプライマリ・ケアの魅力に引き込まれています。
今後、ますますプライマリ・ケアの魅力を感じて楽しく仕事するナースが増えること、プライマリ・ケアナース同士が連携し切磋琢磨をしていけることを切に願います!
訪問看護で関わらせていただき在宅看取りをされたある患者さんのご家族から「看護師さんがいなかったら、父を家で看取ることはできなかった。父が望むように家で看取らせてあげることができた。ありがとう。」という言葉をいただくことができ、今でも励みになっています。
プライマリ・ケアという言葉に出会って、自分が実践してきた看護はプライマリ・ケアという専門性を持った分野だと自信が持てるようになりました。
プライマリ・ケアでは、「患者さん中心の医療・看護」を展開できるところが魅力です。
プライマリ・ケアナースの業務も、時代と共にだんだん高度かつ複雑になっています。
そして、プライマリ・ケアナースは、色々な面でスーパーナースといえると思います。
その看護実践を知ってほしいと考え、少しずつ看護研究を始めました。
看護研究をしていくうちに、プライマリ・ケアナースに必要な慢性疾患の知識を得たい、理論的にアセスメントできる力をつけたいと考えるようになりました。
地域の診療所には慢性疾患患者さんがたくさんいます。
それも、複数の疾患を抱えて、病とともに生活されている人がほとんどです。
慢性疾患や看取りにかかわるうちに、どのように接していけばよいのか、本当に自分の看護はこれでよいのかを悩むようになりました。
プライマリ・ケアに携わるナースの職場環境は、看護師の人数が少なく、なかなか相談や知識向上を図る機会がないのではないかと考えます。
そのような中、一念発起して大学の通信課程で心理学を学びました。
その後、働きながら大学院に入学し、慢性疾患看護専門看護師の資格を取得することができました。
慢性疾患看護専門看護師としてのサブスペシャリティはプライマリ・ケアとしています。
そして、大学院在学中に、学会認定プライマリ・ケア看護師の資格を得ることができました。
日本プライマリ・ケア連合学会に入会して、様々な研修や座談会などに参加する中で、私と同じようなプライマリ・ケアに携わるナースと出会うことができました。
プライマリ・ケアナースとの交流を通して、同じような悩みや想いを持っているということを再確認し、自分のホームを持つことができたと思えるようになりました。
看護は日々研鑽し学習していくものです。
プライマリ・ケアに関わる他のナースの向上心や探求心、バイタリティに感心させられ、ますますプライマリ・ケアの魅力に引き込まれています。
今後、ますますプライマリ・ケアの魅力を感じて楽しく仕事するナースが増えること、プライマリ・ケアナース同士が連携し切磋琢磨をしていけることを切に願います!
編集後記
今回は、日本プライマリ・ケア連合学会認定プライマリ・ケア看護師と慢性疾患看護専門看護師の資格をお持ちの水上さんに、プライマリ・ケア領域で働く看護の魅力を教えていただきました。
「ナースのお仕事」では、素敵な看護師の活動を引き続き紹介していきたいと思います。
あなたもぜひプライマリ・ケア領域の看護師の仲間になりませんか?
お待ちしています!
「ナースのお仕事」では、素敵な看護師の活動を引き続き紹介していきたいと思います。
あなたもぜひプライマリ・ケア領域の看護師の仲間になりませんか?
お待ちしています!
最終更新:2024年11月11日 14時14分