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プラネタリーヘルス
猛暑日の増加が子どもの骨を脅かす?
地球温暖化は、私たちの生活の様々な側面に影響を及ぼしています。特に、近年増加する猛暑日は、子どもたちの健康、とりわけ骨の健康に、間接的ではあるものの深刻な影響を与える可能性が懸念されています。
出典:脱炭素ポータル(環境省)https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/topics/20240924-topic-61.html
屋外活動の減少と骨への影響
猛暑日の増加は、まず子どもたちが屋外で安全に遊べる時間を奪います。炎天下での活動を避けることは当然の対応ですが、その結果、子どもたちの屋外での運動量が減少してしまいます。
骨は、運動による物理的な刺激(負荷)を受けることで強くなります。この刺激が不十分になると、骨の強度が最大限に発達しない可能性があります。特に、骨量が最も増加する成長期に十分な運動刺激を得られないと、将来のピーク骨量が低くなり、高齢になった時の骨折リスクを高めることにつながりかねません。
実際、身体活動量の低さは思春期前の子供の骨折リスク因子と関連していることが研究でも指摘されています1)。また、運動はピーク骨量の達成に不可欠であることが、論文でも強調されています2)。
骨は、運動による物理的な刺激(負荷)を受けることで強くなります。この刺激が不十分になると、骨の強度が最大限に発達しない可能性があります。特に、骨量が最も増加する成長期に十分な運動刺激を得られないと、将来のピーク骨量が低くなり、高齢になった時の骨折リスクを高めることにつながりかねません。
実際、身体活動量の低さは思春期前の子供の骨折リスク因子と関連していることが研究でも指摘されています1)。また、運動はピーク骨量の達成に不可欠であることが、論文でも強調されています2)。
骨の材料「ビタミンD3」の不足
屋外活動の減少は、もう一つの重要な問題を引き起こします。それがビタミンD3の摂取不足です。
ビタミンD3は、カルシウムの吸収を助け、健康な骨を形成するために不可欠な栄養素です。このビタミンD3の多くは、日光(紫外線)を浴びることで皮膚で合成されます。猛暑を避けて屋内で過ごす時間が増えると、必要な日光曝露量が減少し、ビタミンD3が不足しやすくなります。
この問題は、屋外の緑地への曝露が若年層の子どもの骨密度と関連するという研究結果3)とも関連してきます。屋外での活動は、運動と紫外線への暴露の両方の機会を得るために、骨の健康にとって重要だと言えるでしょう。
ビタミンD3は、カルシウムの吸収を助け、健康な骨を形成するために不可欠な栄養素です。このビタミンD3の多くは、日光(紫外線)を浴びることで皮膚で合成されます。猛暑を避けて屋内で過ごす時間が増えると、必要な日光曝露量が減少し、ビタミンD3が不足しやすくなります。
この問題は、屋外の緑地への曝露が若年層の子どもの骨密度と関連するという研究結果3)とも関連してきます。屋外での活動は、運動と紫外線への暴露の両方の機会を得るために、骨の健康にとって重要だと言えるでしょう。
猛暑による「骨折リスク」の連鎖
このように、猛暑日の増加は「屋外活動の減少」という引き金を引き、以下の連鎖的な健康リスクを高める可能性があります。
1.物理的刺激の低下:運動による骨への負荷が減少し、骨の強度が十分に発達しない。
2.ビタミンD3合成の低下:日光曝露が減少し、骨に必要な栄養素の体内合成が不足する。
これらが複合的に作用することで、将来的な骨折リスクが高まるというシナリオが考えられるのです。
1.物理的刺激の低下:運動による骨への負荷が減少し、骨の強度が十分に発達しない。
2.ビタミンD3合成の低下:日光曝露が減少し、骨に必要な栄養素の体内合成が不足する。
これらが複合的に作用することで、将来的な骨折リスクが高まるというシナリオが考えられるのです。
私たちが今できること
猛暑日が続く中でも、子どもたちの骨の健康を守るために、親や地域社会ができることがあります。
●安全な時間帯の活用:早朝や夕方など、比較的涼しい時間帯を選んで短時間でも屋外活動を取り入れる。
●ビタミンD3の補給:食事(魚類、きのこ類など)でビタミンD3を意識的に摂取する。特にアジやイワシと入った形の見える青魚はビタミンD3摂取に優れているだけでなく、近海で取れる魚であり、二酸化炭素排出量削減の観点からも推奨されます。
●屋内運動の工夫:暑さを避けられる屋内の環境でも、ジャンプ運動や負荷をかける遊びなど、骨に刺激を与える運動を積極的に取り入れる。
地球温暖化や気候変動は長期的な課題ですが、子どもたちの「未来の骨」を守るための対策は、今この瞬間から始められるのです。
●安全な時間帯の活用:早朝や夕方など、比較的涼しい時間帯を選んで短時間でも屋外活動を取り入れる。
●ビタミンD3の補給:食事(魚類、きのこ類など)でビタミンD3を意識的に摂取する。特にアジやイワシと入った形の見える青魚はビタミンD3摂取に優れているだけでなく、近海で取れる魚であり、二酸化炭素排出量削減の観点からも推奨されます。
●屋内運動の工夫:暑さを避けられる屋内の環境でも、ジャンプ運動や負荷をかける遊びなど、骨に刺激を与える運動を積極的に取り入れる。
地球温暖化や気候変動は長期的な課題ですが、子どもたちの「未来の骨」を守るための対策は、今この瞬間から始められるのです。
参考文献
1) S. Stenevi Lundgren, B. E. Rosengren, M. Dencker, J-Å Nilsson, C. Karlsson, M. K. Karlsson : Low Physical Activity Is Related to Clustering of Risk Factors for Fracture — a 2-Year Prospective Study in Children Osteoporosis International 2017 Dec; 28(12): 3373–3378
2) Magnus K. Karlsson, Björn E. Rosengren : Exercise and Peak Bone Mass Current Osteoporosis Reports 2020 Jun; 18(3): 285-290
3) Hanne Sleurs, Ana Inês Silva, Esmée M. Bijnens, Yinthe Dockx, Martien Peusens, Leen Rasking, Michelle Plusquin, Tim S. Nawrot : Exposure to Residential Green Space and Bone Mineral Density in Young Children JAMA Network Open 2024 Jan 4
(担当 山梨勤労者医療協会 武川診療所 太田知明)
2) Magnus K. Karlsson, Björn E. Rosengren : Exercise and Peak Bone Mass Current Osteoporosis Reports 2020 Jun; 18(3): 285-290
3) Hanne Sleurs, Ana Inês Silva, Esmée M. Bijnens, Yinthe Dockx, Martien Peusens, Leen Rasking, Michelle Plusquin, Tim S. Nawrot : Exposure to Residential Green Space and Bone Mineral Density in Young Children JAMA Network Open 2024 Jan 4
(担当 山梨勤労者医療協会 武川診療所 太田知明)
最終更新:2025年12月22日 21時25分













