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【開催報告】看護学ワークショップ<2022年度選択領域>  臨床倫理

2023年1月22日にプライマリ・ケア看護学ワークショップ「臨床倫理」の講義と事例演習をオンラインで開催しました。
全国から50名の看護職が参加しました。

ワークショップの概要

受講生は、臨床倫理に関する基本について、事前に動画を視聴して研修に臨みました。
講師は、東京慈恵会医科大学柏病院 総合診療部 臨床倫理委員会 臨床倫理コンサルテーションチーム 緩和ケアチームの三浦 靖彦先生で、
内容はとても理解しやすく、私たちが今までに経験した様々なケースが思い浮かぶような内容でした。
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    画像:講義資料より
演習では、徳山中央病院 地域連携・医療相談室の慢性疾患看護専門看護師の松村 直子さんから事例を提示いただきました。
1回目のグループワークでは、末期がんで認知症を患う超高齢の方についての倫理的問題を、Jonsenの臨床倫理4分割表を用いて検討しました。
2回目のグループワークでは、同じ事例について、今後の療養や退院に向けてご本人の意思や家族の意向も踏まえて意思決定を支援し、最善の医療やケアを提供するためのアプローチやその際の注意点などについて検討しました。
グループワークのファシリテーターは、日本プライマリ・ケア連合学会 倫理委員会の委員の方々や学会認定プライマリ・ケア看護師が行いました。

グループワークでは、どのグループも積極的で、事前に学習した臨床倫理の考え方に沿って様々な意見がたくさん出されました。
また、事例では、ご本人や家族の意向が時が経つごとに変わっていくことを踏まえたうえで、認知症を患う方の意向をいかに丁寧にくみ取っていくか、家族への関わりなど、どの場面をとっても議論がつきませんでした。

最後に講師から「認知症の日常生活・社会生活におけるガイドライン」に基づいて、実際に関わられた展開内容の説明をしていただきました。

印象的だった内容

今回のワークショップで私が印象的だったのは、
認知症などの意思決定能力に一定の支援が必要な場合であっても、意思決定のプロセスで対象の「ひと」のナラティブ(物語られるいのち)に沿って常に説明する努力をおしまないというメッセージでした。

多くの臨床現場では治療が優先され、ナラティブに添える状況と乖離があることも多いかもしれませんが、看護師などをはじめとする支援スタッフが同じ方向を向いて、対象の方の意思決定支援を引き出すアドボケーターとしての関わりが求められていると感じました。

受講する前は「臨床倫理」について十分に理解できるかどうか少し不安に思う部分もありましたが、今回のワークショップに参加したことで、さまざまな臨床の場面にとどまらず、幅広いフィールドで専門職として介入していく際のコンパスになると思いました。


日本プライマリ・ケア連合学会
看護師部会教育研修運営部門
委員 田中千恵美

最終更新:2023年03月28日 11時29分

看護師部会 広報活動支援部門

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看護師部会 広報活動支援部門

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