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【地域で活躍する看護師紹介⑩】ゆみのハートクリニック 谷口智子さん 編

プライマリ・ケア領域で活躍する看護師を知っていますか?シリーズでお伝えする【地域で活躍する看護師紹介】。
今回は、東京にある医療法人社団ゆみの「ゆみのハートクリニック」で勤務している谷口智子さんの活動を紹介します。
谷口さんには、Q&Aに答える形で、看護師の仕事内容やご自身の活動などについてお話を聞かせていただきました。

Q.どのようなプライマリケアの現場で働いていますか? 仕事内容を教えてください

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    ゆみのハートクリニック外来スペース
東京にある医療法人社団ゆみの、ゆみのハートクリニックという在宅・外来診療クリニックで働いています。
当法人は、東京は高田馬場、渋谷、三鷹、大阪は新大阪、天王寺、福岡は赤坂にクリニックがあります。
在宅・外来診療の他、訪問看護ステーションや訪問リハビリテーション、在宅療養支援室(SW)なども運営しており、栄養士や検査技師など多職種が集まっています。
患者さんの約半分が心臓に病気を抱える方で、その他はがんや呼吸器、神経内科、認知症の疾患を抱える方々です。

私はこれまで訪問看護ステーションとテレナーシングの部門に従事してきました。
簡単にテレナーシングのお仕事について、ご紹介させていただきます。

テレナーシングとは?

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    テレナーシング部(通称:管制塔センター)
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    テレナーシングの様子
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    患者さんからの電話を受けながらカルテを確認する様子
テレナーシングとは、情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)と遠隔コミュニケーション(Telecommunication)を通じて提供される看護活動のことです。
テレナーシングガイドラインによると、その目的は、①利用者の健康支援、②日常生活と心身状態の継続的なアセスメント、③心身状態のモニタリングと安定性や変化の評価(トリアージ)、④利用者と家族への情報提供、教育、相談、保健指導、⑤前述によるヘルスアウトカムや生活の質の向上とされています(文献1)。

テレナーシングは、電話を通じて患者さんの心身の状態を把握します。
具体的には、バイタルサインや体重測定、症状の確認などを、患者さん自身、または、患者さんがご自身で行えない場合は、そのご家族や訪問看護師、ヘルパー、ケアマネジャーなどに行っていただくように声をかけ、その方法を説明します。
これらの情報と病歴や経過を基に患者さんの心身の状態についてアセスメントを行い、病気の増悪や急変前の徴候があれば対応します。

先日、医師が心不全の患者さんを訪問した際、いつもよりも体重が増えており、歩くときの息切れが強く、足も少し浮腫んでいることがわかりました。心不全が悪化している徴候です。医師は患者さんの身体が楽になるよう薬の調整を行い、そのことをテレナーシングの看護師に伝えました。
数日後、看護師が患者さんの自宅に電話し、お薬は飲めているか、体重は測定しているか、足の浮腫みの状態について確認しました。患者さんは、お薬は飲めているものの、体重や浮腫みが変わらないと話されました。
さらに詳しくお話を聞くと、季節の畑仕事が大詰めのため、毎朝畑に出て重労働をこなされていることがわかりました。屈む動作が多い畑仕事が心臓に負担をかけ、心不全の悪化の一因となっていたのです。
患者さんにその事実を伝えた上で、心不全という病気と付き合いながら、畑仕事をどのようにしたらよいかを一緒に考えました。

このように、テレナーシングによって、患者さんの生活に合わせて、患者さん自身が病気と付き合っていけるように支援を行うことができます。

*文献1:亀井智子. テレナーシングが拓く看護の未来. 医学界新聞
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2020/PA03381_01

当院のテレナーシングを動画で紹介します。よかったらご覧ください!

Q. プライマリ・ケア領域の看護師の役割、また魅力(やりがい)はなんですか? &仲間へのメッセージをお願いします!

プライマリ・ケア領域で働く看護師の役割は、患者さんが輝ける舞台を創ることだと思います。
在宅医療において舞台とは「家での生活」で、主役は患者さんです。
例えば、ベッドから動けない患者さんが選挙に行きたいと言われれば、ケアマネジャーや介護福祉士と協力してリクライニング車いすと人手を集めて会場までお連れすることがあります。
予後が数週間、数か月と予測される患者さんが遠い母国に帰りたいと希望されれば、医師やソーシャルワーカーなど多職種で相談し、実現可能か一生懸命考えます。
今すぐ退院して家に帰りたいと言われれば、みんなで協力して安心して帰れる環境を作り、その日のうちに家に帰れるようにします。

私たちプライマリ・ケアで働く看護師は、患者さんの舞台にお邪魔している脇役です。
家での生活というその人らしさが最も溢れる舞台で、脇役として、どうしたら主役である患者さんが輝けるか、どうしたら最期までその舞台に立つことができるかを考え、舞台の出演者みんな(患者さんや家族、多職種)で一緒に創り上げていくことができる、とても貴重で魅力的な仕事だと思います。

プライマリ・ケア×看護師の力は無限大です。
その可能性を、ぜひ一緒に広げていきましょう!

編集後記

今回は、日本プライマリ・ケア連合学会認定看護師の資格をお持ちの谷口さんに、プライマリ・ケア領域で働く看護の魅力を教えていただきました。

「ナースのお仕事」では、素敵な看護師の活動を引き続き紹介していきたいと思います。

あなたもぜひプライマリ・ケア領域の看護師の仲間になりませんか?
お待ちしています!

最終更新:2024年09月09日 14時15分

看護師部会 広報活動支援部門

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