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専門性の高い病院『外来』から在宅医療へのケア移行:ベストプラクティス・バッドプラクティスアンケート 記事②:調査についての考察~我々は何をすべきなのか

アンケート調査から見えたこと

専門性の高い病院外来から在宅医療へのケア移行についてのアンケート調査、第2回は調査結果を在宅医療委員会メンバーがどのように読み解いたかです。要点は以下になります。

 ①患者・家族や連携先医療機関とのコミュニケーションや相互理解が重要
 ②在宅医療について理解してもらえていないことは失敗要因になり得る
 ③ケア移行の改善のためには、顔の見える関係以上を築くことが重要

どれも言葉にしてしまえば当たり前のことですが、現場での感覚とも一致します。では、今回の調査で集められた活動はそもそも何をしているのか?それは

 “個別の機関の間、もしくは地域内の『訪問診療に移行する際の連携の仕組』を作る、もしくは改善する活動"

と考えます。そして、そのためには顔の見える関係以上の良好な関係が必要です。その連携のポイントとして以下の2点があげられます。

 ①『専門性の高い病院外来の主治医』に訪問診療について理解してもらう
 ②実際にやり取りをする連携室との関係作りや仕組作り

①は主に医師同士、②については実際に連携する医師以外の職種がメインになります。特に②については連携を担う人材のリクルートや育成もカギになるでしょう。

顔の見える関係以上を作るには

では、顔の見える関係以上を作るうえでなにが役立つか、委員会では以下が成功要因の可能性があると考えました。

 ①既知の関係
 ②連携する病院で働いたことがある
 ③連携機関が限られた地域
 ④立場がある・もしくは後ろ盾がある
 *③はアンケートからではなく、委員会内での議論から抽出


また、勉強会や交流会では、ただ参加する以上のインパクトを残す必要があります。具体的には以下のような内容になります。

・挨拶だけでなく話をする
・連携先にポジティブフィードバックをする
・発表する、主催する。

これらを参考に顔の見える関係以上をつくり、ケア移行の仕組みを構築・改善していきましょう。


一方、顔が見える関係づくり・医療機関同士の個別の連携を都市部など連携先が多数ある地域でまんべんなく行うのは現実的ではありません。ただ、全国どこにでも使える方法は今回のアンケートや委員会内の議論ではまだ示すことはできませんでした。まだ我々が気づいていない良い仕組み作りの方法があるかと思います。今後、委員会ではベストプラクティスのヒアリングなどを進めていきます。さらに皆様からの実践報告が共有されていけばそこから新しい動きにつながっていくかもしれません。重要だが、まだまだ難しいところも多い専門性の高い病院『外来』から在宅医療へのケア移行、プライマリ・ケアの重要な課題としてこれからも取り組んでいきたいと思います。


最後に、実際に行う活動や注意点の参考として、活動例と成功・失敗の判断基準、成功・失敗要因を委員会で分類した表を提示します。これらは主観的なもので、量的な重みづけや因果関係があるかの検証はされていません。しかし、活動のヒントにはなると思いますので、ご参照ください。

資料:アンケート調査結果分類表

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最終更新:2024年08月28日 15時00分

在宅医療委員会

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